ウォートンスクール ゲーミフィケーション集中講義(ケビン・ワーバック、ダン・ハンター)

 

ウォートンスクール ゲーミフィケーション集中講義

ウォートンスクール ゲーミフィケーション集中講義

 

 

ゲーミフィケーションは「非ゲーム的文脈でゲーム要素やゲームデザイン技術を用いること」である。ゲームの要素を仕事に取り入れることによってモチベーションを高めてビジネスで高い生産性を生み出したような事例がある。例えば、マイクロソフトは自社のソフトウェアの改善点を見つけるために社内でゲーミフィケーションの技術を用いて成功を収めた。なんでもビジネスにすれば良いわけでもなく、特定のビジネス目的にあわせて、ゲーム要素、ゲームデザイン・技術・非ゲーム的文脈をうまく組み合わせる必要がある。

ゲーム的側面を持ったものは参加者をファンにさせて夢中で参加させるようになる。

◯デザイン

"どのゲ ーム要素をどの部分にどんな形で付与すれば 、全体的なゲ ーミフィケ ーション体験が各要素の合計を上回るようになるか 。これはまさしくゲ ームデザイン技術で問われる部分"

いかにゲーム要素を生かしていくのかがそのデザイナーには問われるところである。実現のためにはゲームデザイナーのように考える必要がある。ゲームとは自発的なものであり、ゲームにはコントロールを得て選択をするプレイヤーが必要となる。コントロールを得ることは満足につながり、プレイヤーは自然に成功を目指すようになる。

ゲーム愛好家とデザイナーは目的が異なっている。

"要するに 、ゲ ーム愛好家は勝とうとするのに対して 、ゲ ームデザイナ ーはプレ ーヤ ーを遊ばせようと試みる 。これは微妙だが 、重要な違いである 。"

プレイヤーの趣向を踏まえつつ目標を達成するためのゴールとして、ぷれいやーに取り組んでもらい、その状態を維持する、という設定が必要になる。

そこで、デザインの目標としては、
・モチベーションを維持させる
・意味のある選択肢を作り、自律性を持たせる
・構造を持ち、アクティビティを測定するアルゴリズムを備える
・対立の可能性に気づき、モチベーションを促す既存の方法をすべての確認する。
という点に気を配る必要がある。ゲーミフィケーションは動機付けのデザインを備えてなくてはならない。

◯動機付け
動機付けにも内的動機付けと外的動機付けがある。

"そのうち最も影響力があるのが 、エドワ ード ・デシやリチャ ード ・ライアンらによる自己決定理論だろう 。人は内発的な積極性を持ち 、成長への強い内発的欲求を持っているが 、それらは外部環境によって支える必要があり 、そうしないと内発的動機づけは阻害される 、と考えるものだ 。行動主義者のアプロ ーチのように 、人は外的な強化策に反応するだけだと仮定するのではなく 、自己決定理論では 、人間が生まれつき持っている成長と幸福への欲求 (ニ ーズ )を開花させる必要性に注目するのである 。自己決定理論が示唆しているのは 、こうしたニ ーズがコンピテンス 、関連性 、自律性の 3つに分かれること"

内的動機付けを促す要素として、コンピテンス、関連性、自律性を備えているものは興味深く、楽しく、夢中になれる。

外的動機付けとしてはやはり、報酬が代表的なものではあるが報酬は必ずしも有効に働くものではなく”モチベーションをすっかり殺いでしまう可能性”を秘めている。これを「Crowding out」という。

◯フィードバック

フィードバックは内的動機付けを高めるのに使われる。ユーザーは自分の成績を知りたがるものでありフィードバックとして与えられた基準に沿って自分の行動を変えるようになる。

"うまくデザインされたフィ ードバックル ープは 、人々を望ましい振る舞いへと後押しするのである 。"

フィードバックの代表的な手法は「PBL」である、すなわち、point, badge, leader boardである。ポイントは記録の手段であったり、価値を認識させ、外的報酬の基準になり、フィードバック、ゲームの進捗、デザイナーへのデータ提供の役割を担う。また、バッジでユーザーのモチベーションが高まり、評価、アクティビティをの記録、グループの目印となる。リーダーボードで成績を公表することでもモチベーションが高められる。

◯実装
ゲーミフィケーションを実装するにあたり、ビジネスの目標、対象とする行動、プレイヤーのセグメンテーション・モデル化、アクティビティのサイクル、楽しさ、適切なツールを活用することを考える必要がある。
また、法律的な問題もでてくる。ゲーミフィケーションにより過度に競争心を駆り立てるようなことをすれば搾取になるかもしれない。ディズ二ーのホテルでは問題になったことがある。

◯今後
ゲーミフィケーションをさまざまな場面で活かすことで素晴らしい成果を上げられた例もたくさんある。教育の場面で上級生下級生間で協力する環境を作ることができたりもする。チームワークや学習の面でも今後ゲーミフィケーションが生かされていくのだろう。