読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

小学生のための読解力をつける魔法の本棚

 

「小学生のための」本ではあるが、小学生のために骨をおる大人向けに書かれた本。電子書籍で購入しているが、第8版と何回も重版されているベストセラーであるらしい。親はいつも子供の学力のことを気にするものでありこういった本はいつの時代にもニーズはある。

 

著者は有名な男子御三家麻布学園の国語教師ではあるが、麻布中高をでて東大の文学部で博士課程まで出ているので身につけた教養や知性は学者並みなのだろう。とはいえ、論調、主張はいわゆる社会科学的なアプローチではなく(「学力の経済学」は統計学的アプローチを重視した「学問的な書籍」だが、本書はそうではなく)、教師としての経験に基づいたもの。度々生徒のエピソードがでてくるが、生徒をよく見ているような印象の教師だという印象を受ける。しかし、本書のテーマは中高生の読書ではなく、小学生の読書。少し手を添えてあげるだけで自分ので道筋を決められるいのは中高生から。小学生はしっかりと親が道筋を示してやらないとうまく育たない、という見解のもと、言葉を身につけるというレベルから、中学のトップクラス校の入試のレベルの読解問題が読めるようなレベルの読書まで、非常に幅広くカバーされた指南書。小さい頃から読み聞かせをしながら文字にしたしませる、そこから音読をさせる。登場人物の主観を理解しながら読むことができたら次に自分の意見を交え批判的な読書を行う。また、読んだものを数百文字に要約する癖をつける。と実践的なアプローチが述べられる。麻布中高に通うくらい知的レベルが高く早熟な子供であっても全員がガリ勉というわけではなく、マンガだって読むし、各々が興味のある本を読んで知性を育んでいるという。良書は別に難しい本というわけではない。良い本は良い本だ、という見解の元、手塚治虫の本なども推薦されている。まとめ的に入試の長文問題が取り上げられているのは中学受験をさせるような親向けの本というところでニーズをよく押さえた仕様になっていると思わされるが。。。

 

巻末で半分近くを使って紹介されている本は言葉を覚えたての子供から小学高学年(ほぼ大人?)向けの本まで幅広い。自分も小さい頃に読んだな、という本が多く、学習書ではないせよここで紹介される本は古典といっても良いものなのだろう。

 

自分の話になってしまうが、自分も小学生の頃に親に買い与えられた名作を非常にたくさん読んだ。一度読み始めると最後まで読み終えないと気が済まなかったので、大体の本はとにかく集中して読んだ記憶がある。相当数の本を読んだ後は部活に受験に、と忙しくなって中学生になった時には本をほとんど読まなくなってしまった。大学生の頃くらいにまた小説を少しずつ読むようになって、最近ではなんでも構わず読むようになった。本を読むことが言語能力の取得目的であったものは、今ではその内容から学ぶための読書になって、高度な構造を理解するためにわざわざ線を引いたりノートにまとめながら読んでいる。国語の授業でいやいや学ぶためにやっていたことは今ではごく当たり前の習慣になった。著者も述べているが、読書は決して受験だけのためのものでは無く、生涯役に立つことなのだと思う。読書に向かわせる入門書として教育者の立場からの意見を見ることができた。