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ランチェスター思考(福田秀人)

 

ランチェスター思考

ランチェスター思考

 

 

もともとは戦争において戦力差が結果に与える影響についての理論であったランチェスター戦略を、ビジネスの世界に転用することが世間ではよく行われている。本書もランチェスター戦略の第一法則、第二法則にもとづいて、戦争での実例と、ビジネスの世界に転用する考え方が行ったり来たりしながら繰り返し説明される。
 
第1法則:攻撃力=兵力数 × 武器性能(質)
第2法則:攻撃力=兵力数^2×武器性能(質)
 
といった、式にすると単純なものである。
第一法則は、1対1での白兵戦などでのケース。戦いが1対1のモデルで行われるため、戦力は兵力の数にそのまま比例する。という理論。
第二法則は、マシンガンをランダムに打ち合うような戦いでのケース。このケースでは戦力が兵力の2乗に比例する。つまり、数が多いほうがより有利ということになる。数が2:1の戦いではその戦力の比は4:1となり、相手の兵力をすべて殲滅した時、数が多い方が被る被害は数が少ない方よりも少なく済む。
 
こういった法則から、ビジネスの世界のマーケティングシェアの理論を具体的な数値を上げて説明している。大雑把な数ではあるが、75%が絶対的強者としての目標値、40%が首位独走の値、25%がトップに立つための最低条件である。さらに、弱者の目標値も3%→7%→10%→20%を区切りにその中での相対的な意味合いが変化していく。
 
興味深いのは、第二法則のような、絶対的に多数が有利と思われる状況であっても、弱者が強者に勝つ方法はあるという事例が紹介されていることだ。中世ヨーロッパの海戦において、数で多数だった相手を破った戦略は相手の戦力の分断であった。ユニットの規模を減らしてしまえば、総数が少なく弱者でも小さい戦いを繰り返すことで生き残る可能性がでてくる。ビジネスの世界では戦力の分断を活動地域の分断として捉える。狭い地域でまず巨人と戦ってマーケットシェアを確保することを足がかりに成長をするという戦略がこうして生まれるのだ。
 
本書の内容自体はランチェスターの法則から離れることなく深掘りするような解説であるので、初学者には分かりやすかった。