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ローマ法王に米を食べさせた男(高野誠鮮)

 

 

著者は石川県羽咋市の公務員。都会で社会人として働いた後、実家がある羽咋市に戻り、市役所職員として働いていた。
公務員としての初期の大きな仕事は、羽咋市をUFOの街として名を売りコスモアイル羽咋という施設を作ったことだという。
 

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国から大きな予算をもらいながらも様々なしがらみにより限られた予算しか残されなかった。そんな逆境にあっても著者は行動力を発揮して、NASAから本物のロケットを格安で借りて展示するなど、魅力あふれる施設を作った。
 
ただ、上司とは折り合いが合わなかったようで、ある日農業を取り扱う部署へ異動となり、限界集落である神小原(みこはら)を蘇らせるプロジェクトを任される。
本書の記載を見る限り神子原は数百人の人口が小規模な農業をほそぼそと営み、かなり少ない収入で暮らす貧しい村だった。魅力のない村、若者は出稼ぎにでてしまう村であった。そんな神子原の魅力を掘り出し、世界にアピールすることでブランド化して再生させていくプロジェクトが紹介されている。
 
まず、稼ぐために質の良い農作物を適正な価格で自分たちで売る。加工品を作ることで付加価値をつけて売る。旧来はJAを通して販売していた商品の売り方の形態を変えることは住人たちにとってなかなか素直に受け入れることができないことであった。プロジェクトを実行するために度重なる会議を開き、粘り強く住民を説得して実行に持っていった。また、ブランド化させるためにローマ法王に米を食べさせるといった話題作りやアラン・デュカスの店に日本酒を卸すなどと、生産品に付加価値をつけていった。また、人の出入りを増やすために大学生を受け入れたり、移住を推奨したりと、短期間の間に様々な施策を打ち出し、実行していった。
 
最終的にはまた神子原のプロジェクトからも移動して現在は他の業務をしているのだそうが、神子原再生プロジェクトで著者が行ったことは多岐にわたっており、その実行力に驚かされるばかり。「案ずるより産むが易し」といった言葉のとおりなのだろうか。PDCAサイクルを回すということはすなわちDOを繰り返すことでもあるのだ。新しいことを始める時には失敗する恐れは誰にでもある、ただ、結果を生むためには実行してそれを成功へと持っていかなくてはいけない、というメッセージを強く受ける書籍であった。