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科学革命の構造(トーマス・クーン)

 

科学革命の構造

科学革命の構造

 
科学のパラダイムの変化はどのようにしてもたらされるかについて書かれた科学書の中ではバイブルとも言える書籍。事例を上げながら、それぞれのパラダイムの変化が起きたとき、どのような状況であったのかを中心によく考察されている。Googleが選ぶ20世紀の名著100選(http://www.acrographia.net/notes/google%20best%20100%20books.pdf)でも被引用数からトップにカウントされているような有名な本で、科学史に関わる人間でなくてもサイエンスに関わるものであれば、教養として流石に読んでみたほうが良いのかと思った。解説はこちらの読書ブログ(読書猿Classic: between / beyond readers http://readingmonkey.blog45.fc2.com/blog-entry-746.html)で

非常によくまとめられている。

 

こちらでは簡単に紹介。科学革命は既存のパラダイムを変革させることであり、革命により生まれた新たなパラダイムは通常科学のプロセスを経て一般的な理論となっていく。その過程で様々な矛盾が生ずることがあり、そういった矛盾の解決の必要が迫られたときに新たなパラダイムをもたらす理論が提唱される、というのが科学の理論になっている、といった内容がかかれる。

 

通常科学を伝統的な科学として、自らを守ろうと発展するものだとする。いわゆる専門家たちに共通した前提である。

科学革命は恣意的に通常科学をひっくり返してしまうような異常な出来事である。

 

通常科学は殆どの場合において事象をうまく説明できるような理論・前提であり、科学者に共通して認識されるものであるが、

そういった前提に問題が生じてきたときに新たな枠組みが必要となる。ここで、パラダイムAから革命的な理論によりパラダイムBにうつる、といった現象が科学革命である。新しい理論は最初はごく少数のものにしか受け入れられないこともある。しかし、新しい理論により基礎が固まれば、専門家に向けた論文が書かれ、理論は専門化していく。この過程が科学であり、パラダイムの構築のプロセスとなる。

 

アリストテレスが提唱した物理がニュートンらにより革命的な変化を遂げ、その後アインシュタインによりさらに正確な理論が構築された。また、プトレマイオス天文学コペルニクスらにより大きな変化を遂げた。こういった歴史的出来事はパラダイムの変化として本書では繰り返し紹介される。

 

科学の仕事とは主に1. パラダイムの測定、尺度 2. 正確かどうかを測定する 3. パラダイムの誤り・矛盾の解決である。パズル解を解決するようなもので解決すべき答えがあるもので、斬新さは見つからない。科学革命は未知の理論をもたらす革新的な研究である。ただし、革命は一人の人間によりもたらされたことが同定できる訳ではない。化学の分野での酸素の発見や分子理論など、いつ・だれが見つけたかを定義するのが難しいこともある。こうした発見は既存の理論の限界に気づいた研究者が問題を解決する新しい理論を発生させることにより起こる。