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権力と支配(マックス・ウェーバー)

 

権力と支配 (講談社学術文庫)

権力と支配 (講談社学術文庫)

 

  マックス・ウェーバーの大著、「経済と社会」から支配構造について書かれた部分を抜粋して再構築して日本語訳されたのが本書。

マックス・ウェーバーの入門書として有名なので読んでみた。原著がどのような構成で書かれているのかがわからない事もあり、どの程度の編集がされているのかは不明。
 
マックス・ウェーバーが提唱した支配の3つの型として「合法的支配」「伝統的支配」「カリスマ的支配」をあげ、それらが歴史の中でどのように現れて、そして消えていったかという実例に触れながら、
それぞれの特徴、長所・短所を含めて紹介している。国家だけでなく、様々な組織において支配と服従の関係は成り立っている。宗教のように見えない力で支配力をもったり、ナポレオンのようなカリスマ的な支配という型は現代の基準で考えると民衆が力や知識をつけてきた現代では継続力を持つのは難しい。特にカリスマ的支配は長くは続かない。先日記事を書いた権力の終焉も参考にされたい。
 
近代国家の多く・民主主義の国の多くは合法的支配をベースに権力構造が成り立っていると思われる。(もちろん、国家のリーダーがややカリスマ的な性格をおびていたり、伝統的な支配構造が内含されているという要素はあるにせよ。)近代国家が政府として権力を持ち、権力が分立し均衡しつつ発展する中で国家を支える専門家集団として官僚制について多くの割合を割いて述べられている。
 
当時のドイツはドイツ帝国であり、海外の領土をイギリスやフランスに出遅れながらも獲得しようとする勢いが盛んで国家が流動的に動いていた時代。
マックス・ウェーバーの提唱する官僚制度を取り入れて合理的・効率的な国家を目指していたところで、最終的にはドイツは第一次世界大戦に敗れて全く違う形の国家へと変貌する。
ワイマール憲法を生み出してより合法的な性格が高まったその後にはヒトラー率いるカリスマ的支配がドイツ全体を覆っていったことはウェーバーが生きていたらどのような目でドイツの運命を見ただろうか。
 
訳文の記載が難解で正直言って全てを理解しながら読むことは困難だったので理解が不十分なまま読み進めてしまったところがある。また、外部の資料などもこれを書きながらつまみ読みした。
概して学術書の古典は難解な文章が多いが、それでも原典に触れることが重要であるのならば、原典の前後で解説書なども参考にしつつ読むほうが理解が深まると思う。
 
ちなみに、様々な形態で支配の形態が見られるという事は前述したが、入社後身を粉にして会社のために働くサラリーマンを見て封建制の名残を見たような気がした。