ビジョナリー・カンパニー

 

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

 

 

ビジョナリー・カンパニーとは、”ビジョンを持っている企業、未来志向の企業、先見的な企業であり、業界で卓越した企業、同業他社の間で広く尊敬を集め、大きなインパクトを世界に与え続けてきた企業”とされている。
 
こういった企業が教えてくれる4つの教訓として、
  1. 時を告げる預言者になるな。時計を作る設計者になれ。
  2. 「ANDの才能」を重視しよう。
  3. 基本理念を維持し、進歩を促す。
  4. 一貫性を追求しよう。
の4つがあげられている。
 
この本自体は1990年代前半までの研究を書籍化したもので、1950年以前に設立された企業のみを対象にしている。2016年現在隆盛を誇る企業の中にはカリスマ的な創業者が一代で世界規模の会社を作り上げたものも多い。Appleにしろ、Googleにしろ、facebookなどは本書籍で取り扱う企業とは異なっている。多くはダウ工業株30種平均に用いられるような伝統的な大企業である。
 
時を告げる預言者ではなく、「時計」を作るというのは、持続的に、かつ流動的に発展していく組織をつくり上げることの重要性につき言及している。単一の画期的な製品を創業時に作り出し、それでのし上がる企業もあるが、長期的に成果を上げ続けるためには、そういった製品や創業者がアウトカムを出さなくなったあるいは引退した後にも変わる存在が無くてはならない。製品であれば次の製品を次々に生み出さなくてはならない。創業者に変わる存在は常に育て上げ無くてはならないし、創業者のカリスマのみでなく、組織自体の自律的な成長を促すシステムを創りださなくてはならない。
 
持続的な成長をもたらすためには”基本的価値観”を表し、それを”忠実に守りぬく”事が要求される。内容よりも一貫して守ることが重要であり、”方法も経営手法も目標も”基本的な信念に反するときには変更が必要になる。
 
しかし、理念だけでは方針が定まるわけではない。”BHAG(社運をかけた大胆な目標)”という、大胆で、明確で、価値のある目標を設定し、そこにむけて一心に向かう文化が有ることで、他の企業に優越することができる。もちろん、それも会社の信念に沿ったものでなくてはならない。一方で、”進化による進歩”を積極的に促しているのもビジョナリー・カンパニーの特徴である。社員がもつポテンシャル、自由さを引き出すことで、思ってもいなかった新しい発想からなるプロジェクトが花開く可能性がある。もちろん、失敗するものもあるが、素晴らしいプロジェクトは自然淘汰により生き残り、次の会社の主力になっていく。こうした進化の仕方をするがゆえに、元々行っていた事業と異なる事業が大きくなっていくこともしばしばある。
 
どのような過程においても、長期的な目標を優先するために短期的な目標を捨てることはしない。長期的・短期的どちらの目標も達成すべく動く。
 
大企業のなかでも特に素晴らしい企業を集め、その企業がなぜ「ビジョナリー」なのかが詳しく解説されている。労働者の立場からすると、激しい職場である場所も多く、少し前時代的な内容であるような印象も感じられる。しかし、これらの企業の多くは20年たっても業界の巨人で在り続けている。強い組織をつくり上げるためにはこの本に書かれたような文化、人材を育て上げることが重要なことは非常に納得できる。